『くろうともすなる事なれば、しろうとも焼いて見んと思う折から、
星ヶ岡のなにがし「しろうと本窯を築くべからず」といいし』、とも、
何とも、徒然草にも、土佐日記にも書いてはいない。だが、
「しろうと本窯を築くべからず」とはうまい事をいったナア。
第一焼き物を作るなんて余計な事だ。不心得千万だ。一生苦労しても、
名器を1つはおろか、半分でもできるじゃないし、夫れだけの物入りで
相当なメイ器が買えるじゃないか、 という人もある。全体陶土をもむ
事からしてできないだろう。轆轤は子供の時からやらないとひける
ものではない。楽焼きぐらいならとにかく、本窯となると
、何しろ一二三百度の火力を要する。並大抵の者では暑くて体がもたない。
さし木だって熟練を要する。アマアマおよしなさい。と大方の焼物士は言う。
御尤、御尤。
ダガ、無茶法師つらつらおもんみるに、 土もみ、轆轤ひき、窯たき、さし木
成程むずかしかろう、確かに楽ではない。然し「しろうと」におよしなさいと
言う「おくろうと」で、これらの仕事を残らずやってのけるものが幾人あるかナ。・・・
(随筆泥仏堂目録 川喜田半泥子 2007年)
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